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省エネ基準義務化見送りについて

建築業界では、予てより2020年に実施予定であった住宅を含む建築物の省エネ基準適合化について注目が集まっておりました。以前は2000㎡で省エネ基準適合義務が課されていたものを面積に限らず、新たに新築等をする住宅にも義務を課すというものでした。
しかしながら、2018年12月に住宅に対する省エネ基準適合化は見送るという発表がされました。なぜ、住宅の省エネ基準義務化が見送られたのでしょうか。

 

省エネ基準義務化見送りについて

 

住宅の省エネ基準適合義務化が見送られた理由

住宅についての省エネ基準適合義務化の見送りについては、様々な問題が懸念された上での結果ですが、問題として取り上げられたのは、新築住宅の件数が多く事業者・審査者双方の体制が整っておらず負担が過大となる恐れがあること、中規模建築物と比べ住宅での省エネ基準適合率が低いこと、省エネ基準について理解できていない事業者が多く存在していること、消費税率10%への引き上げ時期と重なることによる市場への影響、などです。
これらを考慮して、現在の状況で住宅の省エネ基準適合義務化を実施するのは妥当ではないという判断に至ったものと考えられます。

既存住宅の資産価値への懸念

上記であげた住宅の省エネ基準適合義務化の見送りの理由に加えて、重要な問題がもう一つ考えられます。その問題とは、既存住宅の資産価値への影響です。
建築数の多い住宅で現状のまま、省エネ基準の適合義務化を行った場合、2020年以降の建物とそれ以前の建物で線引きがされ価値が大きく変動することが考えられます。
例えば、耐震基準は1981年5月31日以前の旧耐震基準と1981年6月1日以降の新耐震基準で建物の評価・価値が大きく線引きされています。その線引きがその後の住宅の価値に影響を与え、中古住宅の売買等の際にも資産価値に変動が生じてきました。
同様のことが今回の省エネ基準の適合義務化でも発生する可能性があり、ますます空き家問題が取り上げられる現状を踏まえても義務化を実施することは妥当ではないと判断したのではないかと思われます。

義務化が見送られてどうなる

今回の住宅への省エネ基準適合は見送られることとなり、省エネ基準への適否を建築主への説明のみが求められることとなりました。一方、非住宅の中規模の建築物の省エネ基準適合をこれまでは2000㎡以上で適合義務で300㎡以上2000㎡未満は届出が必要とされていた基準を300㎡以上省エネ基準適合を義務化する方針となっています。
つまり、300㎡未満の小規模建築物では省エネ基準へ適合させなくても良いということになります。

現在の建築物の省エネ適合の割合

現存する建築物の省エネ基準への適合は300㎡以上の中規模建築物での適合率が約90%と高いのに対し、棟数が多い住宅などの小規模建築物では50~60%ほどの適合率であるという統計があります。この統計からも住宅等はまだまだ省エネ基準適合への道のりが長いことがわかります。

省エネ基準の移り変わり

近年、注目されるようになったこの省エネ基準ですが、昭和時代から法律の施行は実施されておりました。省エネ基準の移り変わりについて以下の流れです。
「省エネ法」は1979年(昭和54年)に制定され、その翌年1980年(昭和55年)に「省エネ基準」が取り決められました。これが旧省エネ基準と呼ばれているものとなります。
その後、1992年(平成4年)に「新省エネ基準」、1999年(平成11年)に「次世代省エネ基準」と改正が加えられ、この基準をもとに建築物の仕様が決められてきました。
そして、近年省エネ基準の見直しが実施されることとなり、2013年(平成25年)に「改正省エネ基準」が施行され、2016年(平成28年)にさらに改正が加えられ、「改正省エネ基準(平成28年基準)」というものが取り決められました。
この「改正省エネ基準(平成28年基準)」が現在の最新の省エネ基準となり、建築物の仕様に採用されています。

省エネ基準へ適合させることのメリット

小規模な建築物の省エネ基準の義務化は見送られることとなりましたが、今後の建築物の性能向上のためにも基準に適合した建築物を造っていくことをおすすめしたいです。
建築物の省エネ性能を高めることで、そこで生活等を送る人の健康状態を守り消費エネルギーが抑えられることでランニングコストの削減も望めます。
今のうちに基準に適合した建築物を造っておくことで将来、義務化が実施されたときにも建物の資産価値も守ることができると考えております。

今後どうなっていくか

中規模以上の建築物では省エネ基準適合が義務化になる方針ですが、住宅などの小規模建築物では、義務化まではまだ時間がかかるように思います。しかしながら、省エネ基準(建築物の断熱性能)が原因の家庭内事故が多く発生していることに加え、ますます国民が高齢化していく日本の現状を踏まえても今後、引き続き小規模建築物についても省エネ基準適合に向けた動きは実施されていくものと思われます。
建築物の断熱性能(省エネ性能)を高めることは建築時にはコスト面が気になってしまいますが、その後の建物での過ごし易さや光熱費削減などを考えると性能を高めて、快適な建物を造ることが良いのではないでしょうか。

 

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