板倉造りのデメリット?“材が反る・割れる”とは。住んでいても問題ないの?
こんにちは。大阪・滋賀・和歌山を中心に、自然素材にこだわった家づくりを手がけている丹陽社、ブログ担当です。
こちらの弊社ホームページをご覧いただいた方や、板倉造りについてお調べになっている方はご存知かもしれませんが、板倉造りでは住宅に使用している木材の表面が反ったり割れたりすることがあります。
材が反る・割れるというのは一体どういうことなのでしょうか。
また、反ったり割れたりしてしまって問題はないのでしょうか。
自然素材や健康住宅を真剣にお考えの方はデメリットも知っておきたいところだと思います。
今日はその点について、弊社の建築士 高島に聞きました。具体的に掘り下げてみようと思います。
■木材と乾燥方法
材の表面が反る・割れることには、材料にしている木材の乾燥方法が大きく関係しています。
木材の乾燥方法には「人工乾燥」と「天然乾燥」とがありますが、弊社で採用しているのは主にこの天然乾燥の杉の無垢材です。
人工乾燥というのは、製材後の木材を特別な機械の中に入れ、高温で強制的に乾燥させる方法です。
ある程度均一に乾燥させることができ、出荷までにかかる日数も短くてすみます。また、住宅に使用した施工後の伸縮も少なく安定しています。
そして私たちが建築に用いる天然乾燥の材ですが、こちらは一本一本の木材に風が触れるよう隙間を作って風通し良く材を積み上げ、屋外の太陽の下で自然に乾燥させる方法が取られます。
板倉造りの家を建てるときには大量の木材が運び込まれ、この木の乾燥がまだ完全ではない場合があります。
しっかり乾燥させた材料を使えば良いのでは?と思われるかもしれませんが、実は天然乾燥では含水率が安定するまで木を落ち着かせるには、製材してから10年ほど掛かると言われているのです。
一見デメリットが多いように思われがちですが、それでも私たちが”天然乾燥の無垢材”にこだわるのは、それは経年変化で木が見せてくれる表情と室内に心地よく充満する香りが人工乾燥させた木材とは全く異なるからなのです。
やはり自然に乾燥が進んだ、ストレスのない木材が創り出す空間は心が落ち着きます。香りの違いについては、弊社にそれぞれの乾燥方法の端材を瓶詰めしたものがありますので、ご相談いただくお客様には両方を嗅いでいただき体感してもらっています。
■割れや反りが起こるのは、調湿しているから
そして、板倉造りの木材表面の割れは大体が竣工後、人が住み始めてから1年くらいの間に起こります。
私たち人間と一緒に、そのお家で湿度が高まる「雨季」と、乾燥する「乾季」を経験するのです。
その間に室内ではエアコンで冷房を入れたり暖房器具を使用したりしますが、同時に壁や床、天井の木も一生懸命調湿しようとしてくれています。そうして新居で1年間を過ごし、生活が安定してくる頃には木も「この季節はこのくらいの湿度がいいよね!」と調湿を記憶してくれて、徐々に安定してくるのです。
ですので最初の1年は、エアコンの乾燥した風に当たるなど自然とは違う環境下に置かれることもあり、伸縮によるひねったようなねじれや反り、板の芯の方に向かって表面にくの字に割れができることがあるというわけなのです。湿度が高く吸湿しているときには木は膨張して膨らみ、反対に乾燥し湿気を放出しているときには縮みます。
■「割れ」「反り」はどんなところにできるの?
割れや反りが起こる場所は材によって変わってきます。が起こりそうな場所は事前に特定することはできませんが、よく聞くのは梁の部分に発生するケースです。
よく聞くといっても、弊社で板倉造りの家を建てられるお客様にはこの工法のメリット・デメリットを良くご理解いただいていますし、生活に支障をきたすような割れが起こり、「割れてしまった…どうしよう…」と、ご連絡をいただくことはまずほとんどありません。
「割れる」という表現では板が真二つに折れるようなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、この天然乾燥材の「割れ」というのは真二つになることではなく、「表面が割ける」という程度です。
この時無理に補修をしてしまうと、膨張しようとしている木を無理やり押さえつけることになり、今度は板の反対側にも亀裂が大きく入る可能性があります。そのためちょっとしたひびなどはあまり気にすることはありません。
このひび割れは木の断面の大きいものだと幅1〜2cmくらい、長さは長いもので50cm〜1mくらいになることもあります。
ひびが入っていも、それだけ環境への適応が進んだ木材の方が重さへの耐力・強度があることがわかっています。
一方、「反り」は割れるほどのボリュームを持たない材を使用した内部の建具などに発生します。
内部の建具、柱などに割れや反りが起きて、扉のスライドや開閉が困難になるようなことがあれば、その都度ご連絡いただき補修に伺います。
いかがでしたでしょうか。
自然素材、健康住宅ならではのデメリットとその「程度」をそのままお伝えしました。
木は製材された後も、人と一緒に生きているのです。
まとめると、
・「割れ」というのは真二つになることではなく「表面の亀裂」のこと
・木の伸縮に逆らって補修をすると逆に亀裂が大きくなってしまう可能性がある
・お客さまから「割れて困っている」という連絡をいただくことは無いが、内部の建具が反るなど、生活に支障が出るような場合は、その都度補修に伺っている
・木の伸縮は調湿によるもので、最初の1年を目安に記憶し安定してくる
ということでした!
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